不謹慎かも知れませんが、コロナ禍をポジティブに取ってみましょう。

いつもネガティブな状態の時、私は闇夜にならないと見えない物や事がきっと有ると自分に言い聞かせます。

そう、普段太陽が昇ってる内は星を確認する事が出来ないし、その存在さえも忘れてますよね。

昔話ですが、私が子供の頃に1時間有ったか無いかの急な停電に両親は慌てていました。

一方、私はというと停電はそっちのけで、窓から星を眺めて闇夜の星の綺麗さに感動した事を覚えています。

TCB jeans カタログ抜粋

返信が来たらラッキー位の気持ちだったんですが、意外とフランクに返事をくれて、Viktorの奥さんがTCBのseamenを持ってるよーと教えてくれました。

私は率直に「岡山でモノ作りをしてる。ただ、コロナ禍で海外は疎か、東京にも行けない日々が続いてて、新たなVintageの出逢いを求めてるんだ！」と伝えました。

その私たちの言葉に対して彼はどう思ったのかは分かりませんが、FaceTimeで自宅の雰囲気やVintageコレクションを沢山紹介してくれました。

Vintageコレクションルームに置いてあった漫画でしか見ない様なネズミ取りの仕掛けさえ印象的だった事を覚えてます。

最後にVintorは額装されてたジーンズを私たちに見せてくれました。

そのジーンズこそが『OLYMPICレーベルのブラウンジーンズ』

私はすぐにそれを参考にジーンズを作りたいと伝えました。

彼からの答えは

『Yes!』

『ただ条件が有る。俺は命を賭けて洞窟に入ってジーンズをハンティングしてる。だから同じ気持ちで作ってくれ』

私たちは

『もちろん！じゃあまずは俺たちが作るこのジーンズを観て欲しい！』

2020年冬　Viktorと私たちで新たなプロジェクトが始まった瞬間でした。

TCB jeans カタログ抜粋

”大学時代にボロくて狭いアパートメントの一室で、ルームメイトが持っていた雑誌や本を読んだんだ。

その本はビンテージジーンズに関する内容で、すぐにその写真に釘付けになったよ。

大学で学んでいた文学では知り様が無かったことがそこにある気がしたんだ。

当時のビンテージを発掘し、分析することで、一人の人間の人生物語そのものをブルージーンズを通じて感じられる様な気がするんだ。”

TCB jeans カタログ抜粋

いつも生地を作る時は綿から選びます。

今回はDENIMは1910年代のAmoskeagのスクラップ生地を参考に作ったのですが、ファーストインプレッションですぐムラの激しさが特徴的だなと思いました。

『ストラクチャーデニムにする？』

(1本の糸に３番手以上のムラを人工的に作られた生地。色落ちは雨が降った様な表情と表現されますが個人的にはVintageとは違う気が....）

Amoskeagの生地を裸眼で見てもルーペを見ても、それとは違うムラ感だと気付き、それをどう再現するか悩みました。

TCB jeans カタログ抜粋

ここは職人の勘も頼りにしながら80%を少し強撚に。

残り20%を撚り回数を半分に減らして糸を作って貰う事にしました。

強撚の方が藍の染まり方が浅く、色落ちが早くなる為、Vintage同様のムラの強い縦落ち感が生まれるので無いだろうという仮説の元です。

ビンテージ でも、色が落ち始めたジーンズをよくみてみると全体的に色が落ちる中で、数本縦方向にサーっと色が抜ける糸がありますよね。

これは、撚りの強さによってインディゴがどれほど浸透するかが違うためです。

（撚りが強い＝インディゴが浸透しづらい＝中ジロの部分が多くなる→色落ちが早い）

TCB jeans カタログ抜粋

ジーンズの染めの歴史を探ってみると、Amoskeag時代はまだ本藍を使っての染めであることは確実です。

そして、染め方もかせ染めであったはずですが、ビンテージ自体は通常の中ジロがあるデニムと同様に色落ちが見られます。

そこで、今回は本藍を使ってのロープ染色にて、ビンテージ同様の中ジロを再現して頂きました。

TCB jeans カタログ抜粋

Indigoは本藍をロープ染色で16回染め。

今回、Indigo denimの狙いはザラ付きの強さとムラの強い縦落ち感です。

その為にはシャトルの回転数を限界まで下げてゆっくりと織って頂いてます。

写真でも、デニム表面の凹凸感が伝わるかと思います。

TCB jeans カタログ抜粋

1910年代のジーンズって聞くとさぞかし太いんでしょ？

おむつシルエット？股上深すぎる？

色々なイメージが有ると思います。

何年か前に20'sを作ったときもそうですが、パンツに関してはVintageと同じシルエットをトレースして作っています。

太めですが、太すぎず細すぎず、デイリーに色々な組み合わせで着用して頂けるシルエットだと思っています。

一番近い形である20'sと比べても、ワタリ-1cm、裾幅+0.3cmと形としては大きな差は無いと言えます。

因みに、生地違いのセットアップで着てもしっくりきます。

TCB jeans カタログ抜粋

ボタンもVintageを参考に手つボタンに黒ラッカーで処理します。

下地が鉄なので剥がれた黒ラッカーと地から出てくるサビが混ざった時が最高だと思います。

TCB jeans カタログ抜粋

今回のモデルは、時代考証としてはベルトループが付く前です。

ただ、Waist Overallを作った時もそうでしたが、やはりベルトループが有った方が穿きやすいという方も多いのは事実です。

そこで、IndigoはVintage同様に2×1のライトオンスデニムのベルトループにします。

TCB jeans カタログ抜粋

VintageにはL.S&COと刻印されておりますが、TCBではSOLIDEを使いました。

Vintageでは地金が出てたので鉄のシルバー色を元々採用していましたが、Viktorとのディティール検証の結果、シンチバックも黒ラッカー仕様であった可能性が高いということで、Victor's Voiceにしたがって、黒ラッカーの特注品を手配中です。

TCB jeans カタログ抜粋

この時代のRivetは打ち抜きリベットですが、先端が潰れています。

しかも先端に何か打ち痕が確認できますね。

当時手打ちだったのか、カットするタイプだったのかは定かで無いですが、取り付け工程で必ず付いてしまった痕なんだと思います。

これを再現すべく、TCBではこの形のリベットを作るのでは無く、いつもの打ち抜きリベットを打った後、再度一個ずつ加工してこの打ち痕を入れております。

なので、凹みが真ん中に行く物もあれば端に寄る物も有りますので是非お手元に届いた時楽しみにして欲しいDetailです。

因みに後加工を入れておりますが、バリが発生する訳ではありませんのでご安心ください。

TCB jeans カタログ抜粋

布パッチはリネンを採用。

着込むとVintage同様にプリントが擦れていきます。

このパッチのデザインはあえてTCBという文字は入っていません。

それは私たちからするとTCBと気付いてくれるかな？と不安もありますが、元ネタもOLYMPICのラベルには一切Levisと入って無いため、TWO CAT'Sをメインにしてます。

TCB jeans カタログ抜粋

32inchくらいで丁度良いサイズ感ですが、モデルは少し大きめの34inchを着用しています。

ややゆったりとしたシルエットになります。

サスペンダーと合わせることもできるジーンズになりますので、インチアップして穿かれるのもお勧めです。

Cap

：

THE H.W.DOG&CO.

別注 BASEBALL CAP

Eyewear

：

kearny

dearie

Jacket

：

TCB jeans

Two Cat's Blouse Natural Indigo

Knit

：

OLD HIGH GAUGE

Blues

Accessory

 ：

hemlock

Necklace

Belt

： 

Vintage Works

Leather belt 7Hole

Watch

：

MWC

US Military Pattern Vietnam Watch

Pants

：

TCB jeans

Two Cat's Waist Overall Natural Indigo

Shoes

：

DUOFORD

LOTUS

TCB jeans（TCBジーンズ）

デニムの聖地、岡山県倉敷市児島にあるジーンズの縫製工場の自社ブランド「TCB Jeans」 。
ジーンズ好きが集まって日々作られる製品たち、シンプルな中に細部にまで行き届いた見応えのあるディテールから、知識や縫製などの技術力の高さが伺えます。
着用と洗濯を繰り返して生まれるヴィンテージのような風合い。
自分だけの一着に育っていく過程が楽しめるのも魅力です。
製品の魅力を最大限引き出すモノ作りは圧巻です。

Cotton100%

色は実物に近い掲載を心掛けておりますがご覧の環境により、多少色具合が異なって見える場合もございますのでご注意下さい。

サイズ計測の多少の誤差はご了承ください。